がんと向き合い生きていく

「私、食道がんと言われた」ケンカ別れした娘にメールを送った

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 翌朝のことです。突然、娘が帰ってきて「母さん、私、一緒に病院に行って医者の説明を聞きたい」と言うのです。娘に会うのは3年ぶりでした。Dさんは急に霧が晴れたような気持ちになり、胸につっかえている食べた物がすべて下りていった気がしました。

 そして、娘に向かってこう言っていたそうです。

「私の命なんだから、私が決める」

■本コラム書籍「がんと向き合い生きていく」(セブン&アイ出版)好評発売中

5 / 5 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事