Dさんはよく理解できた気もしましたが、説明を聞いている間は、「会社にどう話すか」「仕事の申し送りはどうするか」といったことが頭をよぎっていました。担当医に「手術か、放射線・抗がん剤かどちらを選びますか?」と尋ねられても、すぐには答えられません。すると最後にこう言われました。
「来週までにおうちの方とも相談されてきてください。あなたの命です。どうするかはあなたが決めてください」
■「あなたの命だから」と言われたが…
Dさんは、自宅に帰って担当医の話を思い出します。
「先生の説明はよく理解できる。あなたの命ですからあなたが決めてください……それはそうかもしれないが、治療法は一番良い方法を先生が選んでくれればいいのに……」
「私はがんで死ぬのだろうか? この先、私の人生にいいことは何も期待できないのではないか?」
がんと向き合い生きていく