がんと向き合い生きていく

「私、食道がんと言われた」ケンカ別れした娘にメールを送った

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Dさんは喫煙と飲酒の習慣があります。たばこは1日20本を約30年間、お酒は毎日ひとり晩酌を続けてきました。1カ月前から食べた物が胸につっかえる感じがあり、ちょうど行われた会社の健診を受けると、内視鏡検査で食道がんが見つかりました。

 後日、午前中からB病院を受診。担当医は消化器科の若い女性医師でした。

「進行した食道がんですが、肺や肝臓に転移はなさそうなので手術できそうです。手術はせずに放射線と抗がん剤治療という方法もあります。午後2時ごろに詳しく説明します」

 そう言われたDさんは昼食をとってから再び外来診察室を訪れました。

 担当医は、手術した場合の後遺症や合併症のリスク、入院期間、手術せずに放射線・抗がん剤治療を受ける場合の副作用、入院期間、そして治療法による生存期間の差がないことなどを図に描いて詳しく説明してくれました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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