病の克服は患者に聞け

脊柱管狭窄症<1>手術時間が通常の3倍超「10時間」に延びた

曽我陽三さん(C)日刊ゲンダイ

 同病院の名誉のために言っておくと、手術時間がこれほど延びたのは同病院の技術が劣っているわけではもちろんなく、むしろ高いにもかかわらず、曽我さんが手術の機会を引き延ばしたことが原因だ。一般的な脊柱管狭窄症のほか、「すべり症」も手術のカテゴリーに入っていたという。

 背骨は、脊柱管を囲むように上から頚椎、胸椎、腰椎等で構成されている。ところが背骨の間にある椎間板(主にクッションの役割)などが変形すると、背骨も異常を起こす。子どもが公園で遊ぶ滑り台のような形に変形し、脊柱管を圧迫してしまう。これが「すべり症」だ。

 曽我さんにも10年ほど前から「脊柱管狭窄症」や「すべり症」の兆候も出始めていた。

 腰周辺に軽い痛みを覚えるという症状の黄信号が点滅するようになり、専門医の診察を促していた。

 だが、幼少の頃、盲腸手術以外に病院の世話になったことがないという曽我さんは、強健な体力の持ち主だった。

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