中高年になって心臓疾患が増えてくるのも、腸内環境の悪化が一因といえます。学生の頃は、食生活、睡眠、身体活動といった要素がある程度はコントロールされていて、一定の範囲に収まっています。テスト前などは睡眠不足になる場合もありますが、全体的にはいずれかが突出して不安定になるケースは少ないといえます。また、高血圧、高血糖、高コレステロールといった心臓疾患のリスクになる遺伝的な要素は、18歳くらいまではそこまで表に出てきません。
それが、社会人になって生活習慣がガラリと変わると、これらのバランスが一気に変わってしまいます。食生活が不規則になって偏ったり、睡眠不足になったり、運動をしなくなったりすることで腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境の悪化は高血圧、高血糖、高コレステロールにつながります。遺伝的にこれらの要素がある人は、加齢とともにさらに助長されます。これらが密接に関わって、心臓疾患を招くのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」