上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

便秘を招く生活習慣が突然死するリスクをアップさせる

順天堂大学医学部付属順天堂医院心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 中高年になって心臓疾患が増えてくるのも、腸内環境の悪化が一因といえます。学生の頃は、食生活、睡眠、身体活動といった要素がある程度はコントロールされていて、一定の範囲に収まっています。テスト前などは睡眠不足になる場合もありますが、全体的にはいずれかが突出して不安定になるケースは少ないといえます。また、高血圧、高血糖、高コレステロールといった心臓疾患のリスクになる遺伝的な要素は、18歳くらいまではそこまで表に出てきません。

 それが、社会人になって生活習慣がガラリと変わると、これらのバランスが一気に変わってしまいます。食生活が不規則になって偏ったり、睡眠不足になったり、運動をしなくなったりすることで腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境の悪化は高血圧、高血糖、高コレステロールにつながります。遺伝的にこれらの要素がある人は、加齢とともにさらに助長されます。これらが密接に関わって、心臓疾患を招くのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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