独白 愉快な“病人”たち

すぐに余命を考えました…松崎悦子さんが語る印環細胞がん

松崎悦子さん(C)日刊ゲンダイ

 私が告知されたのは「印環細胞がん」という特殊なタイプの胃がんでした。一般的な胃がんは、胃の粘膜の表面に発生するのですが、印環細胞がんは胃粘膜の表には顔を出さず、胃壁の中を這うように広がっていくので、とても発見が難しく、しかも早い進行でリンパまで行ってしまうたちの悪いがんです。

 何となく調子の悪さを感じたのが2019年の初夏でした。コンサートが続いて疲れていたので、かかりつけのクリニックで栄養剤などをいただいていました。それでもなかなか体調が戻らないことを訴えると、「胃カメラ検査をしてみますか?」と言われ、それがきっかけで病気が発覚しました。「がんが見つかりました。ちゃんと検査しないとわかりませんが、手術のできる病院を選んでください」と言われたのです。

 すぐに大きな病院で検査を受けたところ、「印環細胞がん」と診断されました。勧められた治療は胃の全摘出手術でした。その時はわかりませんでしたが、手術後にわかったステージは1で、その中でも下のほうの本当に初期の初期でした。

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