前回もお話ししたように、新型コロナウイルス患者に対応する専用病棟を設置したことにあわせ、いまは一般の診療や手術の件数を通常の70%程度まで絞り込んでいます。手術するのがベターとはいえ、“待てる”時間がある患者さんには、不公平にならない形で納得してもらって延期している状況です。逆に言えば、いまのタイミングで手術する必要がある患者さんもいるということです。それでも、手術が予定されて準備していた患者さんの中には、「こんな時期に手術しても問題ないのか」といった不安を訴える方もいらっしゃいます。そう感じるのも当然でしょう。
そうした患者さんに対しては、納得してもらえるまでリスクについて説明を繰り返します。実施している感染症対策をはじめ、なぜいまのタイミングで手術が必要なのか。新型コロナが心配なのも無理はないが、いまの心臓の状態を考えると手術を延期することで突然死リスクが高くなってしまう……といったお話をしています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」