時間栄養学と旬の食材

【ニンニク】切ることで殺菌効果や刺激臭を発揮する

食べ過ぎには注意

 ニンニクの生産量日本一の青森では、6月中旬あたりの梅雨前に収穫が始まり、収穫後20日間程度、乾燥させてから市場に出回ります。それ以外の地域では5月中旬ごろから収穫期となります。

 ニンニクには人間の体にとって必要な栄養素が豊富に含まれます。特に多いのが「アリイン」で、無臭の成分。買ってきたままのニンニクは臭わないですよね。しかしニンニクを切ったりすると細胞が潰れ、2種類の細胞成分が混ざり、アリインが酵素の力で「アリシン」に変化して、殺菌効果や刺激臭を出すのです。ニンニクを切って使うのはそのため。丸ごと焼いて食べる時はよく噛みましょう。

 ところで体が疲れている時にニンニクを食べると良いといわれるのはなぜでしょう? 鍵を握るのが、この刺激臭のもとの「アリシン」なのです。アリシンは体内で合成して、エネルギーをつくり出す助けとなるビタミンB1と同様の働きをするため、疲労回復効果があります。さらに効果をアップしたい方はビタミンB1の豊富な豚肉や玄米などと一緒に食べるといいでしょう。アリシンとビタミンB1が結合して吸収率が10倍になるといわれています。特に夜に食べると寝ている間に疲労回復効果が期待できます。

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古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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