そこで入院を回避し、ケアマネジャーによる手厚い介護のもと、自宅療養をすることになった。患者は5月下旬に亡くなったが、その前日には娘が遊びに来て、当日は入浴サービスを受け、リンゴのすりおろしも数さじ味わったという。穏やかな最期だった。
「現在は未知のものに対する恐怖から過度な対応が目立つように思いますが、もともと死はごく身近に存在するものであり、そのことを意識する者だけが自らの死に思いを致すことができるのです」
死はいずれ誰にでも訪れるものだ。事故などで予期せず逝ってしまうこともあるが、多くの場合、どのように迎えるかを自分で選択できる。コロナの流行を無駄にはしたくない。
(おわり)