がんと向き合い生きていく

コロナ感染の克服と経済再生のカギはPCR検査を多く行うこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 会社でも、社員も同様です。陽性者が出ないかぎり、学校も休校は必要ありません。

 熊本の豪雨災害では、いまだに泥だらけの破損住宅がたくさんあります。しかし、コロナが怖くて、県内のボランティアしか現地には行けないことになっています。たくさんの健康な方にPCR検査を行い、陰性のワッペンを着けられれば、県外からたくさんのボランティアの方に来ていただけると思うのです。

 最近、政府はPCR検査数を増やしているとはいえ、中国、韓国、ドイツなど諸外国に比べると、何百倍、何千倍も少ない数字です。感染が落ち着いた中国の武漢でも、先の2週間余りで1000万人の市民全員にPCR検査を実施したと聞きます。

 日本で検査数が少ないのは、約800カ所あった保健所を、半分の約400カ所に減らしたことが関係しているのでしょうか。もしそうであれば、PCR検査を実施できる施設は、医・理系学部のある大学や研究所など全国にたくさんあります。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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