これまで大学病院が診ていた患者さんの8割近くは、そうした街の医療機関から紹介された患者さんで占められていました。“入り口”である街の医療機関の患者数が減っている状況では、大学病院の患者数も増えないのです。
こうした医療体制の危機を受け、政府は「ウイルスとの長期戦を戦い抜くための医療・福祉の提供体制の確保」のために2兆7179億円を充てる第2次補正予算案を閣議決定しました。とはいえ、医療機関の損失補填という名目ではなく、あくまでも「新たなCOVID―19患者の受け入れや空床確保の補填」のための予算とされました。また、1カ月で10億円前後の減収になっている大学病院にとっては、「赤字の半分も埋まらない」といった声も聞こえます。
現在も感染者が増え続けているうえ、ウイルスが活発になる秋から冬にかけて、さらに急増する可能性もありますから、医療機関の経営はさらに苦しくなります。今回の新型コロナ禍がきっかけになって、医療体制の再整備が進むのは間違いありません。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」