上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

新型コロナの影響で日本の医療体制の再整備が進むだろう

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 東京女子医大病院では、全職員を対象に夏のボーナスを支給しないとする大学側の方針に対し、約400人の看護師が一斉に退職の意向を表明するという騒動が起こりました。その後、病院側は支給することを決めましたが、東京女子医大と同じように経営に四苦八苦している病院は少なくありません。新型コロナの影響で経営破綻する病院が続出する可能性もあり、医療機関の統廃合が一気に加速するでしょう。

■医療スタッフの働き方も見直される

 病院内でのマネジメントの見直しも急ピッチで行われています。近年、膨らみ続ける医療費をどうやって削減するかが大きな課題になっていました。新型コロナの影響で大学病院の収入が毎月10億円減っているということは、大局的に見れば10億円の医療費が節約されているともいえます。

 そうした状況下で病院が経営を維持していくためには、不要な人件費や設備費といった無駄を洗い出して省いていく必要があります。そして、「ダウンサイジングしてもやっていけるな」という感触を得ている施設も少なくないでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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