新型コロナの感染効率に関わる変異が世界中で起きつつある

新型コロナウィルスの電子顕微鏡拡大写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 しかし、上記の知見はすべて細胞を使った実験で、本当の生物を使った実験ではなく、病原性の変化についてはよくわからない。そして、単純にこれらの変異がどの程度、感染拡大、もしくは減少に関与しているのか、また、免疫応答やワクチンの効果にも影響を与えるのかもはっきりしない。ただ、このような変異の影響については、これまでのさまざまなウイルス学研究の知見から予測されていたことで、この新型コロナウイルスが特別に変わったウイルスであるわけではない。

 実際に新型コロナウイルスの変異する速度は現在も変わらず、他のコロナウイルスとほぼ同じである。現在も世界各地で感染が広がっているため、さまざまな変異ウイルスが生じると思うが、その変異の多くはウイルスの性質とは関連がないだろう。しかし、一部の例外の可能性はあるため、その変化を今後も調べ続けることは極めて重要である。

(東海大学医学部分子生命科学講師・中川草)

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