進化する糖尿病治療法

「冬前にはHbA1cを8%未満へ」私が今、患者にそう言う理由

継続的に食生活を改善

 健診前に食生活を改めて空腹時血糖値は基準値以内に収められたとしても、付け焼き刃の食事法では改善できないのがHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)です。 過去1~2カ月間の血糖コントロールを示すので、継続的に食生活を改めなければ、この数値は下がりません。

 今、私は患者さんに「冬前にはHbA1cが8・0%を確実に切るようにしてください」と伝え、薬や食事、運動の指導を行っています。

 新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスは、ともに気温が低くなれば、より感染・発症率が高くなります。

 この冬、流行するコロナ、インフルエンザ予防のために、血糖コントロールを良くし、感染しても発症しない、たとえ発症しても重症化しないように準備をしておかなくてはならないからです。血糖コントロールは一朝一夕では改善されません。今から行動に移す必要があります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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