進化する糖尿病治療法

「冬前にはHbA1cを8%未満へ」私が今、患者にそう言う理由

継続的に食生活を改善

 では、血糖コントロールを良くするために何をすべきか? 

 まず、処方された薬は自己判断で服薬量を減らしたり、飲むのをやめたりせず、規定通りに服用すること。コロナの影響で病院に行きづらくなる状況がくることを考慮し主治医と相談の上、可能であれば予備の薬を十分に手元に置いておくのもいいでしょう。

 次に、糖尿病は脂質異常症、高血圧症を併発しやすい。これらの疾患のチェックがまだの人は、今のうちに検査を受け、数値によっては脂質異常症、高血圧の薬物治療も取り入れてください。

 さらに、血糖値の定期的な確認です。皮膚に張ったセンサーに測定値を読み取るリーダーを近づけるだけで簡単に血糖値を測定できる機器も発売されていますし、測定した血糖値や血圧、体重、歩数、食事などの生活記録を一括管理できる無料アプリも登場しています。コロナで活動量が減り、血糖コントロールが思っている以上に悪くなっているかもしれません。定期的に確認し、血糖値の上昇・下降の幅が大きいようなら、特に食事内容を見直さなければなりません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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