ただ、中には「自分が助かる道は絶対にこの治療しかない」とか、「ほかの病院にはいくつも断られたから、ここで手術してもらえなければどうしていいかわからない」などと凝り固まった考え方にとらわれている患者さんもいます。そういったときは、患者さんの状態によって手術の危険度がどの程度かを数値で示した「リスクスコア」や、ガイドラインで推奨されている治療法などをベースにしながら、「あなたの場合、現時点で命を守るためには手術はしないほうがいいんですよ」といった説明を繰り返します。
たとえばそれががんであれば、「いまは手術できないが、抗がん剤を使って腫瘍が小さくなったら、その時点で手術をしましょう」といったように次のステップを提示します。EBMを含めた医療安全を考慮して治療法を選択するのは、その患者さんが健康的に生活できる日をより長く続けられるように“水先案内”をするイメージでしょうか。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」