いつまでも口から食べたい<上>経口摂取は困難と言われたら

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「本当に経口摂取が可能かどうかは、その方の健康レベルや病状、どの時点で、だれが、どの評価ツールを用いるかで異なります。ただし、医師や歯科医師が嚥下障害評価のゴールデンスタンダードとして行う嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査は、難易度が高いと考えてください」

 この検査は、造影剤を食物に入れたものを食べたり、鼻からチューブを入れて食べさせたりするもので、そもそも痛くてつらい検査である上に、口腔状態、認知機能、食べる時の姿勢や動作、食物の形態で評価結果が左右される。たとえば、顎が上がった姿勢のまま行うと誤嚥しやすくなる。認知機能が低下している人は指示に従えず、評価結果が悪くなることも珍しくない。

「ほかにもいくつかのテストがあり複合して行いますが、評価者のスキルや経験、患者さんの状態の影響を受けやすい」

 要介護高齢者で入院前からペースト食しか食べていない人に、顎が上がった姿勢で突然水を飲ませてもうまくいかない。それは、歩く機能が衰えた人にいきなり100メートルを全力疾走させ、タイムが遅かったり完走できなかったりしたら「自力歩行は不可能」と判断するようなものだ。

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