体にやさしい新しいがん治療「光免疫療法」の仕組みと値段

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「多くの固形がんには、表面に抗原という特異的なタンパク質が発現しています。光免疫療法は、この抗原をターゲットに光感受性物質をのせた抗体を体内に投与。24時間程度でがん細胞の抗原にたどり着き、これをターゲットに近赤外光を発するレーザー装置を使い、がんの細胞膜だけをピンポイントで照射、破壊する治療法です」

 今回の承認では、この抗体のひとつと「IR700」という、この治療法のために開発された薬剤を使用。がん表面に出ているEGFRをターゲットに、がんだけを選択的に壊していく手法だ。抗体を替えると、頭頚部のほか皮膚、卵巣、乳房、肺などもっと多種類のがんをカバーする。この新たな分類では、同じ臓器にできた腫瘍であっても出ている抗原はさまざま。例えば乳がんといっても抗原の種類はEGFR、HER2、CD44などいくつも種類がある。

「同じ部位なのに、たちまち転移するがんと、進行が遅く悪さをしないがんがあるのは抗原の違いにもよります。また1つの腫瘍に2種類の抗原が出ているタイプも。固形がんであれば約8~9割に何らかの抗原が現れている。ゆくゆくは他の抗原でも薬剤を開発し、8~9割のがん治療が可能になるということです」

2 / 4 ページ

関連記事