最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

患者と家族双方の希望を話し合い、すり合わせる場を持とう

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ポイントは、元気なうちに話し合いの場を持つこと。状態が悪い時には、本当に望むことを伝えられません。痛すぎて非常につらい状態では、悲観的な判断しかできなくなってしまいます。

 こんなケースがありました。多発性骨髄腫と慢性心不全を患う80歳の男性で、ひとり暮らし。疎遠となった家族とは離れているものの、パートナーといえる方が近くに住んでいます。もともと訪問看護は受けており、一時、肺炎で入院し、退院したのをきっかけに私たちの在宅医療を受けることになりました。

 在宅輸血をしながら週1回の訪問介護。それでも、そのうち徐々に足腰が弱り、自力でのトイレや食事が難しくなってきました。そこで、比較的元気な日に、パートナーを交えて今後について話し合うことになりました。

「とにかくパートナーに迷惑をかけたくない」と患者さん。「トイレや食事が自力でできなくなった時、ひとり暮らしでも在宅医療で問題はないのか?」「痛みは取り除いてもらえるのか?」など、2人が心配する問題を一つずつ解決し、納得してもらいました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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