独白 愉快な“病人”たち

活動弁士の片岡一郎さん網膜剥離になって「厄年の意味を実感」

片岡一郎さん(C)日刊ゲンダイ

 これは、まったくの余談ですが、私は生まれつき両目の視力が0・1なのです。しかも乱視。原因は簡単にいうと遺伝です。授業では一番前の席でも黒板の字がよく見えないくらいの近眼にもかかわらず、メガネが嫌いだったので、中学2年生でコンタクトレンズを入れるまで裸眼で過ごしました。初めてコンタクトレンズを入れた時は、世界がギラギラしてまぶしかったことを今でも覚えています。

 でも、医師からは生まれつき視力が悪いことと網膜剥離に関係があるとは言われませんでした。一般にも見られるような、眼球の内部を満たしている硝子体というゼリー状の液体が年齢とともに減少して、目の中に隙間ができることで網膜が破ける加齢現象だと受け止めています。

■体は有限、生きていればガタがくる

 手術は局部麻酔だったので、何かされている感覚や先生方の会話は聞こえていましたが、特に恐怖感はありませんでした。つらかったのは術後2日間です。眼球にガスを入れて網膜を定着させるので、ずっとうつぶせ状態で過ごさなければならないのです。

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