独白 愉快な“病人”たち

活動弁士の片岡一郎さん網膜剥離になって「厄年の意味を実感」

片岡一郎さん(C)日刊ゲンダイ

 寝返りもできないし、体は痛いし、とにかく暇。スマホを見るしかやれることがなかったので、この機会に網膜剥離の手術の歴史を調べたりしました。意外と歴史が浅くて、網膜剥離が治せるようになったのはここ40年ぐらいのことだと知り、医学の進歩に感謝しました。

 退院して半年間ぐらいは眼圧を下げたり炎症を抑えたりする3種類の点眼薬を取っ換え引っ換え頻繁にさしていました。 眼圧を下げるといえば、入院したら血圧を毎日測るじゃないですか。それで私、えらい高血圧だと判明したのです。上がだいたい200㎜/Hgとかで、看護師さんも毎回驚くんです。自分では高血圧で不都合を感じたことはなかったのですが、主治医から「循環器科へ行ってこい!」と言われ、今はしっかり降圧剤も飲んでいます。今後、気をつけなければいけないのは、網膜剥離より高血圧の方のようです(笑い)。

 網膜剥離になってみて、改めて「厄年」の意味を実感しました。体は有限で、人間生きていれば42、43歳でガタがくるから注意しろよ、という先人の教えなのですね。よくできたシステムだなと合点がいきました。また目が2つ、耳が2つあるのは距離感のためだけじゃなく、スペアとしての意味もあるのかなあと思いました。

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