「ホスピスでは、疾患を扱うのではなしに、疾患を持って悩んでいる個人を扱う、どこまでも人間を扱うという面を強調します。患者ひとりひとりでその人の悩み方は違います。したがって、患者ひとりひとりに個別的にタッチするということが必要で、全体をまとめ、マスとして扱うことは出来ません。そういう個性的な、個別的な医療のアプローチの方法がある面では必要です」
最近、Aがん専門病院が緩和病棟を閉鎖し、コロナ病棟にしたことが報道されました。ひとりひとりの命を考えるよりも、多くの命を考える。多くの命を助けるためには、ひとりひとりの命を考えてはいられない。命を「マス」として考えざるを得ない――。コロナ蔓延の非常時には、これを容認せざるを得ないのでしょうか。
私は心配になってB病院の緩和医療の専門医に聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。
がんと向き合い生きていく