人生に勝つ性教育講座

医師国家試験に初めて合格した女性医師は夫に淋病をうつされ決心

荻野吟子像(C)PIXTA

 ちなみに、荻野吟子医師は埼玉県の三偉人のひとりです。深谷市出身で現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公である渋沢栄一、本庄市出身で江戸時代の全盲の国学者にしてあのヘレンケラーから「人生の目標」と称えられたという塙保己一と共に顕彰されています。なお、荻野吟子医師が男尊女卑的な試験制度を変えるにあたっては、塙保己一が編纂した平安時代の律令の解説書「令義解(りょうのぎげ)」が大いに役立ったとされています。そこに女医の規程があり、それが荻野吟子医師の医師国家試験受験の突破口になったのです。

 その顛末については札幌医科大学出身の外科医で作家の渡辺淳一さんの「花埋み(はなうずみ)」(新潮文庫)に詳しく書かれています。興味がある人は一読されると良いでしょう。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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