先日、奥さまの姉がまた電話をくれました。4年前に夫を亡くしており、いまはひとり暮らしです。
「Aさん、大丈夫? 落ち着いた? 行かなければと思ったんだけど、やっぱりコロナがね……」
姉の声は奥さまにそっくりで、思わず涙が出てきました。
姉は、「時間が解決してくれるから……。私なんか、夫が死んで一周忌が過ぎてから、やっとひとりに慣れてきたわよ」と言ってくれます。ただ、いまのAさんにとって「時間が解決してくれる」との言葉は、その通りだと思いながらも何だかとても冷たく響きました。「時間」と言われても、いまは一日をとても長く感じています。奥さまを見舞うため病院に通っている時は、一日が長いなどと考えたこともなかったのに……。
Aさんはゴハンを炊くのも面倒になり、コンビニで弁当を買いました。食べる前に、弁当のゴハンを少し小皿に盛って、線香の隣に供えました。
がんと向き合い生きていく