女性の不妊治療で何が行われているのか

不妊治療を保険適用にすることは本当に患者のためになるのか

写真はイメージ(C)chachamal/iStock

 保険適用範囲内だけで治療を行えば、これまでより少ない治療費で不妊治療を受けることができます。しかし、保険適用によってこれまであった助成金制度がもし廃止されてしまうと、オプションの治療をしたい場合には逆に費用負担が大きくなってしまう可能性があります。また、保険適用内の治療だけを行おうとすると、画一化された治療しかできず、逆に治療成績自体も下がってしまう危険性もあるのです。

 このように不妊治療の保険適用にはまだまだ解決しなければならない問題点があります。もちろん、金銭的な恩恵が受けられる方が少なからずおられることは事実です。スタンダードな体外受精治療だけで妊娠できるかどうかの大きなカギは女性の「年齢」です。保険適用の恩恵が受けられるよう、なるべく早い段階で不妊治療を開始することが重要なのです。

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小川誠司

小川誠司

1978年、兵庫県生まれ。2006年名古屋市立大学医学部を卒業。卒後研修終了後に慶應義塾大学産科婦人科学教室へ入局。2010年慶應義塾大学大学院へ進学。2014年慶應義塾大学産婦人科助教。2019年那須赤十字病院副部長。2020年仙台ARTクリニックに入職。2021年より現職。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。

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