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コロナで献血が激減…命を支える治療のひとつ「輸血」の重要性

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 最近、献血者が減っています。都内では、必要人数に対する協力者数の割合が6月以降に足りなくなって、80%台にとどまっているようです。不要不急の外出を避ける生活、繰り返される緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が献血にも影響していると思われます。

 輸血は病気によっては命を支える重要な治療手段です。血液は、血球成分の赤血球、白血球、血小板と、血球以外の血漿成分に分けられます。以前は、輸血といえば全血輸血でしたが、現在は「赤血球輸血」「血小板輸血」「血漿製剤」に分けられています。主に手術などの出血時に必要とされる輸血は赤血球輸血です。手術前には、想定される出血量を考慮して赤血球輸血を準備します。

 1970年代は「顆粒球(白血球)輸血」というものがありました。抗がん剤治療で白血球が極端に減り、敗血症や菌血症となった場合、実際に顆粒球輸血を行ったことがあります。抗生剤だけではなく、細菌から体を守る顆粒球輸血を行い、そうした状況をしのいだのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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