血小板輸血が必要とされる場合で最も多いのは急性白血病です。血小板が少ないため、患者の歯肉からの出血が止まらないような状況を何度も経験しました。止血のためにガーゼを噛んだまま長い時間を過ごさなければならない患者はとてもつらいのです。
血小板輸血はいつでも供給されるわけではありません。特に正月は献血者が減るため、前年の年末に血液センターから血小板輸血を供給できる日とできない日の予定が知らされます。医師は入院治療中の患者の状況を見ながら、その日に合わせて血小板輸血を申し込んでおきます。
当時、一番困ったのは、年末に新規で入院した急性白血病の患者の治療でした。血小板輸血の予定が組まれていない状況でも、治療は待ったなしです。患者はもちろん大変ですが、私たちも正月は吹っ飛んでしまいます。それでも、正月が過ぎて病気が良くなり完全寛解になった時は、この上ない喜びがありました。
がんと向き合い生きていく