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コロナで献血が激減…命を支える治療のひとつ「輸血」の重要性

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ドナーの方の血液をナイロン・ウールカラムの吸着ろ過装置に循環させ、顆粒球が引っかかったカラムを取り出し、カラムから顆粒球を分離し、患者さんに静脈投与します。カラムから顆粒球を浮遊液に分離するのに、30センチほどのカラムをこん棒で20分ほど何回も何回も叩きました。

 患者の菌血症が早く治るように、早く熱が下がるように、輸血科の部屋でカラムを叩くのはわれわれ医師の仕事でした。そんな顆粒球輸血は、1980年代になってG-CSFという顆粒球を増やす因子が開発され、いまは行われなくなっています。

■血小板輸血は常に供給されるわけではない

 血小板輸血は、血小板数が極端に減った場合の出血に対して、止血あるいは出血予防のために行われます。白血病の治療以外では、出血が予想される中心静脈カテーテル挿入、腰椎穿刺、外科手術を実施する際などに行われます。おおよその目安として、1回で「10単位」ほどの血小板輸血が行われます(全血液200ミリリットルで1単位)。つまり、1回で2000ミリリットル分の血液から取り出した血小板が輸血されるのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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