ドナーの方の血液をナイロン・ウールカラムの吸着ろ過装置に循環させ、顆粒球が引っかかったカラムを取り出し、カラムから顆粒球を分離し、患者さんに静脈投与します。カラムから顆粒球を浮遊液に分離するのに、30センチほどのカラムをこん棒で20分ほど何回も何回も叩きました。
患者の菌血症が早く治るように、早く熱が下がるように、輸血科の部屋でカラムを叩くのはわれわれ医師の仕事でした。そんな顆粒球輸血は、1980年代になってG-CSFという顆粒球を増やす因子が開発され、いまは行われなくなっています。
■血小板輸血は常に供給されるわけではない
血小板輸血は、血小板数が極端に減った場合の出血に対して、止血あるいは出血予防のために行われます。白血病の治療以外では、出血が予想される中心静脈カテーテル挿入、腰椎穿刺、外科手術を実施する際などに行われます。おおよその目安として、1回で「10単位」ほどの血小板輸血が行われます(全血液200ミリリットルで1単位)。つまり、1回で2000ミリリットル分の血液から取り出した血小板が輸血されるのです。
がんと向き合い生きていく