Dr.中川 がんサバイバーの知恵

コロナワクチンに続き抗がん剤も不足 供給停止が相次ぐ理由

アブラキサンは点滴で(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 コロナワクチンや抗がん剤で、なぜ同じような供給停止が続くのでしょうか。米国内では、不具合が見つかった工場のほかにも、この薬を製造する工場があります。米国やカナダ、英国はそれらの工場の供給を認めているのですが、日本と豪州は不具合のあった工場からの供給に依存しているため、供給が滞る事態になったのです。

 二度あることは三度あるで、同じような体制では、再び供給停止に追い込まれる薬が出るかもしれません。相次ぐ事態を教訓に、対策を整備しておくことがとても重要でしょう。今回のように海外に複数の工場があるケースは同じ製造元から同じ薬剤を緊急輸入し、国内で迅速承認して供給できる体制づくりが必要だと思います。販売元の大鵬薬品工業は、その線で交渉しているようです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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