独白 愉快な“病人”たち

こころMOJIアーティストの浦上秀樹さん 難病「遠位型ミオパチー」との闘いを語る

浦上秀樹さん(C)日刊ゲンダイ

 その後、在宅で図面を引くようになって、パソコンを口にくわえた棒で操作できるよう早めに練習を始めました。30歳を越えると手も動かせなくなり、今は首から上しか動かせません。

 今の仕事を始めるきっかけになったのは、37歳で出合った杉浦誠司さんの作品集です。ひらがなで構成された漢字が面白くて、口に筆をくわえて書き始めました。これが思いのほか楽しかったので、だんだん文字を考えることにのめり込んでいき、41歳から文字一本に絞って生活を始めました。27歳のときに結婚もしたので、安定したCADの仕事を辞めるのは勇気がいりました。でも、今は正解だったと思っています。

 今できるのは顔の筋肉を動かすことぐらいで、首の角度を変えることも介護ヘルパーさんにやってもらわなければなりません。何が不便って、すべてが不便です。だけど、不幸ではないと思っています。

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