心臓疾患とがんを抱えている患者さんの治療には、こうしたマネジメントが必要になってきます。以前は、心臓疾患などで抗凝固薬を服用している患者さんは、積極的に手術をしてもらえないようなケースもありましたが、いまはガイドラインがある程度しっかり出来上がっているので、そうした懸念はなくなってきています。だからこそ、医療者側のマネジメントが重要です。マネジメントを間違えると、患者さんが命を落とす危険もあるのです。
心臓疾患とがん、両方の治療を適切に行うためには、それぞれの専門医に高いレベルの「コモンセンス=常識」が求められます。自分の専門の領域について勉強しているだけでは不十分で、いわゆる生活習慣病のガイドライン、標準的な治療についてIT情報レベルまでは精通していないといけません。
さらに、がんの専門医でも心臓について、心臓の専門医でもがんについて、治療のスタンダードはどんなものなのかくらいは把握しておく必要があるのです。がんの治療、あるいは心臓疾患の治療を無事に終えたとしても、その治療がほかの病気に影響して、患者さんのQOL(生活の質)がガクンと下がってしまうケースもあります。そうなれば、なんのために治療したのかわからなくなってしまいます。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」