最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

小さな問題も徹底して対策する「KAIZEN」プロジェクト

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 また、検査項目の見落としがあったために、患者さんから何度も採血をしなければならなかったという報告に対しては、カルテに採血検査項目をセットで付けるようにしました。これによって見落としがなくなり、患者さんの採血の負担も軽減しました。

 その他にも、患者さんの家の中に持って入る往診用バッグを、汚れる地面には直接置かないことも徹底しました。

「いずれも大した問題じゃないのでは」と思うかもしれません。しかし、「ハインリッヒの法則」というものがあります。1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故が隠れ、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常が隠れているという意味。日々、柔軟な対応が求められる在宅医療の現場では、軽微なミスも見過ごせないのです。

「改善」を学ばせてもらった患者さんがいました。72歳の独居女性で、胃がん末期の方です。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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