最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

小さな問題も徹底して対策する「KAIZEN」プロジェクト

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ご本人は1年ほど前まで近くのクリーニング店に元気にお勤めしていましたが、胃がんが判明。発症後は退職し、買い物だけはヘルパー同行で行っていました。しかし、ついに入院となり、その後は在宅医療へ。2人のお子さんはすでに成人。長女には2歳と7歳の女の子のお孫さんがいて、自宅に近い職場にいる長男が時々見舞うという状況でした。

 人見知りする方で、最初は拒否される内容も多かった。しかし、担当の医師とスタッフを固定したり、玄関のカギを入れるキーボックスを設置したり、見失ってはいけない在宅医療関連の薬剤などを冷蔵庫に入れたりするなど、この方が過ごしやすくなるための改善を実施しました。

 その間には念願だったお孫さんとの映画観賞も実現し、在宅医療を開始してから約半年後、ご家族が見守る中、静かに旅立たれていかれました。

 このように患者さんの数だけ改善があるのが在宅医療なのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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