上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

血圧の薬を飲んでいる人は冬の入浴でのヒートショックに注意を

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 つまり、血圧が下がり過ぎてしまうのです。血圧の急激な上下動でヒートショックを起こしやすくなるのはもちろん、失神して浴室で倒れたり、湯船で溺れてしまったりする危険があります。

 降圧剤の服用と入浴のタイミングによる心臓や血管のトラブルは、高齢で痩せ形の女性に多い印象です。男性は夕食を取る前に入浴する人も少なくありません。一方、女性は食事の後片付けを済ませてからお風呂に入るケースが多いことも影響しているかもしれません。

 いずれにせよ、ヒートショックは単純に言えば血圧の急激な上下動によって起こるトラブルです。ですから、薬による血圧管理という“操作”を行っている人は、健康な人以上に入浴に対して注意する必要があるのです。

■“隠れ弁膜症”の高齢者も危ない

 ほかにもとりわけ高齢者の場合、大動脈弁狭窄症が徐々に進んでいる“隠れ弁膜症”の人はヒートショックに気を付けなければなりません。

3 / 5 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事