がんと向き合い生きていく

テレワークの普及はがんリスク上昇につながってしまうのではないか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 先日、かつて一緒に働いていた看護師のAさんにお会いしました。以前と変わらず早口で、よくしゃべります。

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 ね~、聞いて聞いて。うちのダンナ、コロナで会社に行かずに在宅勤務なの。コロナが落ち着いても、ずっと在宅なんだって。

 電車の通勤がなくなって、テレワークなの。家にばかり居てゴロゴロしているから、10キロも太ったのよ。お腹が大きくなって、ズボンも入らなくなったの。ソファに寝そべっているのを見ると、もう粗大ゴミ。

 ダンナは「働き方改革だ。ムダな通勤時間がなくなって効率良く働ける。家はサテライトオフィスだ」なんて、訳の分からないことを言うのよ。この間も、日勤の仕事が終わってスーパーで買い物して、疲れて家に帰ると、ダンナはゴロンと寝転んで、もうウイスキーのグラスを片手にテレビを見ているの。台所には使った食器が洗わずに重ねてあって、「今晩のおかずは何?」なんて聞いてくる。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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