Dr.中川 がんサバイバーの知恵

HPVワクチンの積極的推奨を再開 “失われた8年”に生まれた女性のがんリスク

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そこで、厚労省は「キャッチアップ接種」として、公費接種を逃した人を救済する制度を導入。その対象者をどうするか検討していますが、3つの案のうち1997年~2005年度生まれのすべてを対象とする案に落ち着きそうです。

 大阪大の研究チームは失われた8年の間に生まれた女性の子宮頚がんリスクを調査しました。それによると、2000年度生まれは、発症と死亡がそれぞれ3651人、904人増えると推計しています。01年度は4566人.1130人、02年度は4645人.1150人、そして03年度は4657人.1153人です。

 この責任をだれが取るのでしょうか。今後、問題になりそうです。

 ワクチン接種と副反応の因果関係は否定されていますが、万が一、副反応が見られたら、自治体の予防接種担当課に相談すると、補償が受けられる可能性があります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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