みんなの眼科教室 教えて清澤先生

糖尿病の診断を受けてから10年後には50%が網膜症を患う

急速に目がかすむようになったら注意。年に一度は眼科検診を!

 慢性的に高血糖が持続すると、眼底にある網膜の細い毛細血管が障害を受けます。障害を受けた網膜の毛細血管には血栓ができて詰まったり、血管の一部が破れて出血したりして単純網膜症を起こします。

 最初は、毛細血管が塞がれてしまうと眼底血管が拡張したり、蛇行したりする増殖前網膜症になります。不足した酸素を補うため、そこに新しい血管が発生します。新生血管は破れやすく出血を繰り返します。そうするうちに周囲に増殖膜と呼ばれる線維性の組織が生じて次の増殖網膜症に変わります。その増殖膜が網膜を引っ張り、網膜剥離を起こすと失明原因となるのです。

 では、自分が糖尿病性網膜症かどうかはどのようにすればわかるのでしょうか? まずは「かすみ目」からチェックしましょう。視界がかすんで見えにくい状態をかすみ目と呼びます。老眼、近視、白内障では徐々に目がかすみます。一方、硝子体出血、加齢黄斑変性では比較的急速に目がかすみます。見え方を自分で確かめるには、壁掛けカレンダーの前に立ち、手で片眼をふさぎます。その状態で全体が一度に見えるか、縦横の線がゆがんでいないかをチェックします。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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