みんなの眼科教室 教えて清澤先生

糖尿病の診断を受けてから10年後には50%が網膜症を患う

急速に目がかすむようになったら注意。年に一度は眼科検診を!

 2型糖尿病患者の最大21%は、糖尿病の最初の診断時に網膜症を患っていて、ほとんどの患者は時間の経過とともにある程度の網膜症を発症します。他の眼疾患が一般的であった高齢発症群では、法的な失明の症例の3分の1が糖尿病性網膜症によるものでした。

 しかし、幸いにも視力を脅かす網膜症は、糖尿病の最初の3~5年ではまれです。別の統計では、糖尿病に10年以上罹患すると、その約50%に網膜症がみられ、20年以上では約80%に網膜症が合併するとされています

 糖尿病性網膜症の視力喪失にはいくつかのメカニズムがあります。中心視力は、網膜の中心部分にむくみが起きて視力が急激に下がる黄斑浮腫または広範な毛細血管の閉塞によって損なわれます。高血糖が長期にわたり持続すると全身にさまざまな合併症が起こり、そのひとつが糖尿病性網膜症です。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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