今回のリキッドバイオプシーは、この腫瘍マーカーとは違います。腫瘍の組織から血液中に流れ出るがん細胞、血液中のがん細胞の破片、遊離したDNA、エクソソーム(細胞から分泌される膜小胞)、microRNAなどを調べることによって、体の中のがんの状態をリアルタイムに知ることができるというのです。
すでにがんの塊が手術で切除されていて、CTなどの画像検査では見つからない場合でも、血液中のそうした物質から、体内のがんの状態がわかるといいます。たとえば乳がんの患者で手術後に再発した場合、転移巣から遊離したがん細胞が血液の中に存在するかどうかを調べるのです。
ひとつのがん細胞が、血液中にとどまっている時間はとても短いようで、本当に血液中にがん細胞が存在するのかを確認するには、採血した検体で血液中のたくさんの正常細胞を短時間で検査し、その中にがん細胞がどれだけ含まれるかを調べなければなりません。そのためには、検査技法として血液細胞100万個ないし1000万個の中から1個の腫瘍細胞を検出できる能力が必要です。
がんと向き合い生きていく