独白 愉快な“病人”たち

市川真由美さんが語るがんとの闘い「こんな体になっても生きなきゃダメ?」と毎日泣いていた

市川真由美さん(提供写真)

 そんなある日、下の子の目の前でジャーッとオシッコが漏れてしまったんです。言葉にならないほど恥ずかしくて悲しかった。でもそのとき、下の子が「汚い」でも「やだー」でもなく、「お母さん、かわいそう」と言ったのを聞いて、頑張る気持ちになれたのです。あれが立ち直るきっかけになりました。

 排尿と排便を自力でできるようにリハビリして、1カ月後に退院しました。でも3日目に腸閉塞を起こして再び緊急入院。子宮の手術時間が長かったので、腸が癒着しやすくなってしまったようです。以来、疲れると腸の動きが鈍くなって、毎年のように腸閉塞になってしまうんです。

 退院時は車椅子でした。家でも排尿は毎回叫びながら、いきんでやっと出す感じ。便は下剤を使うので滝のようだったりして常に痔の状態です。1年間はおかゆしか食べられませんでした。

 ただ、休んでもいられないので勤めていた会社に杖をついて行ったら、「そんな人は置いておけん」とクビ。土壇場で個人事業主の届け出を出しておいて本当によかったと思いました。

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