独白 愉快な“病人”たち

市川真由美さんが語るがんとの闘い「こんな体になっても生きなきゃダメ?」と毎日泣いていた

市川真由美さん(提供写真)

 この年は本当に大変で、じつは夫もその頃、彼の父との関係でノイローゼになって2年寝込んでいたんです。ですから手術までの間に遠くに住んでいる私の弟に、もしものときのお葬式の手配や小学3年生だった下の子(女子)のことなどをお願いして、生命保険のお金を計算したりしました。

 そして、このとき個人事業主の開業届を出して入院したんです。「死んでいく私を頼りにしている家族がこの先も食べていけるようにしておかなければ」という一心でした。後々になって、結果的にこれが大正解でした。

■娘の一言が立ち直るきっかけに

 転院先で、子宮と周囲のリンパ節を神経ごとごっそり取る9時間半に及ぶ大手術を受けました。それによって排泄のための神経を切ってしまったので、排尿も排便もわからなくなりました。4時間ごとに尿道に管を入れられるし、排便は下剤で出す。ものすごくショックでした。「こんな体になっても生きなきゃダメなの?」と思いました。何があっても前に進む努力はしてきたのに、このときばかりは毎日、病室で泣いていました。

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