五十肩を徹底解剖する

「腱板断裂」は腕の上げ下げはできるが途中で痛みを覚える

写真はイメージ

 凍結肩と腱板断裂では、症状にそれぞれ特徴があります。凍結肩では、気をつけの姿勢から前方向へバンザイをしても水平程度しか上がりません。他人の力でそれ以上に動かそうとしてもガチガチに硬く、患者さんは痛みを覚えるだけ。逆に胸の前辺りの、動かせる狭い範囲では痛みは感じません。

 一方、腱板断裂は水平以上にまでバンザイできることが多いです。ただし、上げ下げの途中で痛みを覚えますが、痛い角度を越えればほぼ天井に向かって真っすぐ手を上げられる例まであります。

 また、動作中の痛みをごまかすため、腕を上下するスピードが途中でいったん落ちるのも腱板断裂ならでは。痛みの出る軌道を避けようとしたり、痛みをこらえるため反対の手で腕を支えようとしたりします。

 凍結肩の場合、関節包という靱帯が固まっているだけで、筋肉はつながっていますので力は落ちません。しかし肩の主要な筋肉である腱板が断裂すると力が落ち、自分の腕すら持ち上がらなくなることもあります。

2 / 3 ページ

安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

関連記事