調査の患者像は、死亡時に80歳以上だった割合が5割超。高齢ゆえ介助を必要としたのは約8割、認知症の合併は13%に上ります。がん以外の病気による痛みや認知症の影響もあるでしょうが、それでも緩和ケアが不十分です。
もう一つ見逃せないのは、「望んだ場所で過ごせた」も47.9%と半数を割ったこと。日本では8割が病院で亡くなる一方、17年度の厚労省の調査では8割が自宅での最期を望んでいます。最期の場所を巡るギャップは17年より少なくなっていますが、まだ大きい。
これらの点を踏まえると、ある程度、がんが進んだ時点で亡くなるまでの療養プランをイメージしておき、患者側から医療者に提案するべきだと思います。相手は、医師ではなく、看護師でもよいでしょう。
私は、がん患者、一般市民、がん診療に携わる医師・看護師を対象にアンケートしたことがあります。その結果、「最後まで病気と闘うこと」を望ましいとする割合は、がん患者・一般市民と医療者で食い違いました。闘病を必要とした医療者は2~3割でしたが、がん患者・一般市民は8割でした。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵