結果そうすることで、彼女は自宅を空けることなく、息子の傷の処置ができ、通院もしなくてよくなりました。3週間ほどで傷はきれいに治り、彼女の息子さんはいまでは元気いっぱい保育園に通っています。
往診によって不便な通院をすることなく、他の家族を守りながら息子の処置ができた。彼女は時間を有効に使うことができました。
この経験以降、「患者さんの病気を治療さえできれば、あとの生活が犠牲になっても仕方がない」といったこれまでの私の考えが百八十度転換。未経験ながらも、「在宅医療の果たす役割はとても大きいのでは」という気持ちを強めていったのです。
新しい在宅医療の力で、理不尽な環境を迫られてしまうときも、そのことをできるだけ回避することができます。患者さんやご家族のQOL(生活の質)は確実に向上するのです。
そんな患者さんやご家族の事情に寄り添う在宅医療の可能性は今後もますます求められると考えています。
最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと