血管性認知症は、脳血管障害の引き金となる高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの対策によって、明確な予防策を講じることが可能ですが、アルツハイマー病は根本的予防策がありません。結果、脳の寿命の延びが、体の寿命の延びに追いつかないというアンバランスな状況になっているのです。
しかし最新の研究で、脳の寿命を延ばせる可能性があることが明らかになってきています。
たとえば包丁で指を切っても、時間の経過とともに傷が塞がり自然と治っていきます。手術で切開した部分を縫い合わせて時間が経てば、抜糸しても皮膚はくっついたままです。これらは、皮膚の細胞が再生するおかげです。
一方、脳の細胞は減っていくだけで、一度死んでしまえば再生できないといわれてきました。つまり、脳が老化し萎縮すれば脳の働きは衰えていくしかない。脳の寿命を延ばせないというのが、定説だったのです。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う