五十肩を徹底解剖する

手術で腱板修復不可の場合はリバース型人工肩関節全置換術

写真はイメージ

 一方、リバース型人工肩関節手術では、上腕骨側に受け皿部分、肩甲骨側にボール状の人工関節を設置します。この方法によって、腱板が断裂していても、肩関節を前後及び外側から覆う分厚い筋肉(三角筋)の力だけで腕を上げられるようになります。

 手術は肩前面に10センチほどのキズを作って行います。術後は腱板手術と同様に装具で患部を保護するものの、翌日から歩行可能。状況に応じ術後1~3週間の入院リハビリと、退院後は週1~2回の通院リハビリが半年前後必要です。

 個人差はありますが、リバース型人工肩関節置換術では、斜め前上方まで(前方挙上100~150度)バンザイできることを目安にしています。しかし痛みが取れ、洗濯物を干すなどの日常動作には十分な機能回復と満足度が期待できます。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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