がんと向き合い生きていく

「毎日、体のどこかが痛い」と訴えるひとり暮らしの患者の心境

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

「ありがとう。この間、市からがん検診の手紙が来てたから、受けてみる。先生、私は……繰り返すけど、腰も背中も痛いし、ね。だんだん目もピントが合わなくて、かすむしいいとこないね」

「100歳まで25年もありますよ」

「アハハ、25年ね! ひ孫も見られるかね? アハハ、じゃあまたね。ありがとうね」

 Yさんは上機嫌で帰られました。多くの患者さんのお話をじっくり聞ける機会がもっともっと増えるといいのですが。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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