認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

病気が原因の「物忘れ」と健常者の「ど忘れ」何が違うのか

写真はイメージ

 たとえば、「よくテレビに出てくる俳優の名前が出てこなくなる」という項目があったとします。しかし私の場合、「よくテレビに出てくる俳優」であっても、名前が出てこない。最近のことではなくて、昔からそうです。

 料理をまったくしない・関心がない人が、キャベツをレタスと言い間違えても、以前からそうであったなら、特段おかしなことではありません。「覚えていて当たり前」ということは、十人十色なのです。

■「変化」を見逃さない

 では、「認知症かもしれない」と疑うべきは、どういうときか? 前回の本欄でも触れましたが、重要なのは「変化」です。以前は難なくできていたことができなくなってしまう。これまでの暮らしぶりや仕事ぶりに比べて、何かが違う。そしてそれが、頻回にある--。もしそうだとしたら、認知症の始まりかもしれません。

2 / 4 ページ

新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

関連記事