高齢者の正しいクスリとの付き合い方

高齢者に多く処方されている「かゆみ止め」にも副作用がある

写真はイメージ

 抗ヒスタミン薬の歴史は長く、市販の風邪薬に含まれているほど安全性も高いと考えられています。そのため、かゆみを訴える高齢者にもよく処方されていますし、私も頻繁に目にします。これは決して良いことではないのですが、中には複数の病院から似たような抗ヒスタミン薬が重複して処方されているケースもあります。

 さて、この抗ヒスタミン薬ですが、他のクスリと同様に副作用が当然あります。代表的なものとして、眠気、口渇感(口や喉がカラカラになる)、便秘が挙げられます。

 眠気は、抗ヒスタミン薬の作用が脳にも影響することによって起こります。脳に作用する度合いは抗ヒスタミン薬ごとに異なっていて、中には脳への作用が弱い=眠気が起こりにくいものもあります。花粉症の時期によく見かける市販のアレルギー薬のCMで、「眠くなりにくい!」とうたっているものを見かけますよね。これは、脳に作用する度合いの少ない抗ヒスタミン薬が主成分になっているタイプなのです。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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