「BSC」とは患者が自分らしく生きていく療養生活の始まり

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 在宅医療とは何かと問われれば、それは「慣れ親しんだわが家で治療を受けたい。最期を迎えたい」という患者さんの思いに応えるための医療だと言えます。病状も生活環境も違う、多様な患者さんの要望や気持ちにできるだけ寄り添う医療でもあります。

 病院からがんの患者さんの紹介があった時に「ご本人・ご家族と相談し、BSCの方針です」と言われることがあります。

 この「BSC」とはベスト・サポーティブ・ケア(Best Supportive Care)の略。効果的な対処が残されていない場合などに、積極的な治療は行わず、症状緩和の治療を行い、患者さんのQOL(生活の質)の維持に専念することを意味します。在宅医療においては、患者さんとご家族にとってテーラーメードな療養生活を支えながら取り組む医療の始まりです。

 以前こんな患者さんがいました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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